紙のダイアリー

主にカードゲームについて書き連ねる予定です

【WIXOSS】「ぱ杯4th」で垣間見たダブルエリミネーショントーナメントの可能性

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どうも、ぱっくです。

今回は大分前に書いた気がする仲間大会の第四回目にあたる「ぱ杯4th」の記録、実際に大会を開いて感じたことをつらつらと書いていこうと思います。

 

大会構想

突然ですが皆さん、「大乱闘スマッシュブラザーズSpecial」というゲームをご存知でしょうか?

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最後の参戦ファイターとして、キングダムハーツシリーズからソラが参戦し、発売から3年経った今も遊ぶ人の多いゲームなので、「滅多に遊ばないけど、持ってはいる」という人も多いのではないでしょうか?

「そんな国民的ふっ飛ばしアクションゲームと、少し前までサービス終了すら噂されていたTCGにどのような関係が?」と思う方も多いと思います。単刀直入に言うと、このゲームの競技シーンにこそWIXOSS、特にディーヴァセレクションを盛り上げるヒントがあるのではないか?と思ったのです。

そのヒントの話をするために、少しだけ「スマブラSP」の競技シーンの話をします。「知ってるよ〜」って方は読み飛ばしてもらって結構です。

 

スマブラ」の遊び方と言えば、友達の家で4人集まってワイワイ騒ぎながら遊んだ記憶がある人も多いと思います。実は、そんなスマブラを「競技」として取り組んでいる人が多くいるのです。

競技としてのスマブラは、歴戦のファイターがハンマーを振り回して追いかけてくることも、モンスターボールから伝説のポケモンが出てきて突然飛ばされることもありません。1on1、ステージギミックなしのストック制の真剣勝負になります。一言で括ってしまえば「格闘ゲーム」という認識でいいと思います。

 

その真剣勝負においても、ある程度の運要素が介在します。「数フレーム後のことを考えて自分が選んだ行動と、相手の選んだ技が噛み合って負けてしまった」とか、「そもそも10%の確率でしか起きないことをドンピシャで引かれてしまった」とかはスマブラの競技シーンでも時折目にします。「勝負は時の運」とはよく言ったものです。

 

僕自身、オンラインではあるもののスマブラSPから始めて、主に使い続けたジョーカーやルカリオ、新しく使い始めたソラ等はそれなりに使える方になってきました。オンライン対戦の一つの指標である「VIPマッチ」の参加権をもらえる程度には頑張って取り組みました。まあこの話はあんまり大切ではないですね。

 

競技スマブラの大規模な大会では、国内外問わずトーナメントでは同じルールが採られています。それはダブルエリミネーショントーナメント方式というものです。

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とても簡単に言うと、「2敗したら終わりのトーナメント戦」です。最初は全員が勝者側(Winners)トーナメントで戦いますが、負けた人から敗者側(Losers)トーナメントで戦い、勝者側優勝者と敗者側優勝者による最終決戦(Grand Final)を行います。GFで敗者側が勝利した場合は、「全員が敗者側トーナメントに落ちた」という判定になりもう一度GFを行う(Grand Final Reset)という流れです。

午前中やDay1にPoolと呼ばれる予選を行い、Pool終了後本戦のトーナメントが始まります。

 

個人的にはこのトーナメントに2点の魅力を感じています。

1点目は、単純に実力者が勝ちやすいトーナメントであること。

お馴染みのシングルエリミネーショントーナメントでは、どんな理由があろうと一度負けたら即退場となります。運負けだろうが、プレイミスだろうが、負けは負けという進行になり、行われている1試合が全てになります。よく言えば全身全霊の1試合を見ることができるルールですが、悪く言えば一発勝負で、その日の勝者がそのまま勝者になってしまうトーナメントです。

ダブルエリミネーションでは、1回負けても巻き返しが狙えるトーナメントになります。個人的にはFrostbite2020でのMKLeoが思い起こされます。彼は、世界最強最高のプレイヤーでしたが、トーナメント序盤で新進気鋭のマリオ使いprodigyに0-3で負けてしまい敗者側落ちしてしまいますが、そこから王者のプライドを見せ、華麗なLosersでの連勝でその大会を優勝しています。

Frostbite 2020 SSBU Winners Top 96 - MkLeo (Joker) Vs. Armada | Prodigy (Mario) Smash Ultimate - YouTube

(スマブラ知らなくても結構面白いので是非。)

運ゲーに左右される部分を補完しやすいという点で、実力者が勝ちやすいトーナメントになると思いました。

 

2点目はトーナメント自体に活気が出ることです。

これは、具体的に結果に現れた部分があるので後ほど解説します。

 

WIXOSSのディーヴァセレクションにおいて、ゲーム性が運に寄っていたとしても、トーナメントでそれまでの準備やプレイの精度を問うことができるのであれば、実際にやってみたいなという思いから、ダブルエリミネーショントーナメントでのディーセレ大会を企画しました。

 

大会当日の様子

・運営するにあたって気をつけたこと

今回は身内大会ということでしたが、初参戦のたくろー選手を招きました。彼自身から参加したいとの申し出があったのもありますが、スマブラにも精通しているたくろー選手の参加は、ダブルエリミトーナメント開催にあたってかなり大きなものだったと思います。トーナメントのルールを理解している人がいるのといないのでは、進行側として心のゆとりが違います。

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インターネット上で見つけたダブルエリミネーショントーナメントのサイトからマッチングを拝借し、アナログ人間故の古めかしい方法でトーナメント表を作成しました。サイトで作ったトーナメントをそのまま使ってもよかったのですが、主催者のスマホでしかトーナメントが確認できないのは、参加者にとって不便だろうと思い、誰なもすぐに確認できるよう前日に作成しました。定規がなくてローダーを使った結果、直線が引けないことがあったので、定規を使うかPCで作るかしましょう(2敗)。

 

多くの参加者はダブルエリミネーショントーナメント自体が初めてであり、ルール説明にはかなり気を配りました。主に「2敗したら終わりのトーナメントです。」という説明を多用しました。参加者からしてみれば、主催側がしっかりマッチングできていればこのルール以外のマッチング方法はトーナメントで確認できるので、問題なかったです。手作りで書き直したトーナメント表はここで活きてきました。

また、Loserの説明をする際にも、「ここで負けたら終了です。」「Losers走り抜けて優勝したら、それは流石にカッコいいね。」等、一敗までは大丈夫だけど、その先はないということを強調するような言葉を選んでみました。Losersに落ちてからGF2本取るという優勝への道は、精神的にも厳しいものがあるため、敢えて緊張感を煽ってみた訳です。

 

また、身内の大会であるためディーセレのゲーム性に対する多少の暴言はOKというルールを設定しました。後ほどこのルールは、とある最大手ウィクロスライターの手によって書き換えられることになります。

 

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ぱ杯名物景品集め、セレモニーの5倍くらいの量だし、たまに変なところでケツに力を入れる人もいるのでとんでもないことになります。めだかボックス全巻とか、ふるよに始めようセットとかは質量的にアウトまであります。

 

・会場等

今回は神田の貸し会議室で行いました。人数的にカラオケ入れるか微妙だったので、今回は仕方なく。

参加賞として適当すぎるオリパを用意しました。その中に数字を書いた紙を入れておき、当日のマッチングとしました。

会場費1000円を徴収し、12:00まで準備を進めます。

 

・WINNERS ROUND1

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参加者12名なので、4人シード枠からスタート。多分16人が適正です。

デッキを貸した人も何人かいますが、一回戦からかなり白熱した試合を見ることができました。

 

・WINNERS ROUND2

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4人シード込み全員の対戦がスタート。ちなみにシード取った全員が何故かここでLOSERSに落ちています。なんで?

 

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みくに(天使サンガ)vs.なの(原子デウス)

対原子デウスを詰めていたみくに選手。除去を《H2O》に当てることで、退かなくても無力化するように動いていたと記憶しています。
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ねく(チームムジカ)vs.KENZO(原子デウス)

この日好調だったKENZO選手。「原子デウスこそ自分が追い求めていたデッキ。」だと豪語し、WINNERSトーナメントを駆け上がります。

 

・LOSERS ROUND1

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WINNERS ROUND2まで終わり、敗者側のトーナメントが動き出しました。ここからは正真正銘負けたら終わり、いつもの真剣勝負が戻ってきます。いつもと違うのはただ一点。1敗してからここに来た人たちなので、面構えがいつもとは大きく違っていました。

 

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なの(原子デウス)vs.ウルズ(白緑タマ)

歌姫の洗礼は関東強豪プレイヤー2名の元へ下ります。「まさかLOSERS ROUND1でこのカードが起きるとは…」と内心驚いていました。

 

・WINNERS SEMI-FINAL

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ふっじー(青白レイ)vs.KENZO(原子デウス)

久々にディーヴァセレクションに触ったふっじー選手、原子デウスのカードパワーに驚いている様子でした。原子デウスの出力は本当に高いです。

 

たくろー(ネクラ天使タマ)vs.みくに(ネクラ天使サンガ)

まさかの同型メイン別ルリグミラーが勃発。こういうのもディーヴァセレクションの面白いところですね!

 

・LOSERS ROUND3

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ふっじー(青白レイ)vs.なの(原子デウス)

なの選手、LOSERSトーナメントを破竹の勢いで駆け上がっていきます。本人曰く、「下に潜ってからケツに力を入れたのはマジっぽい」

先述の「トーナメントの活気」は、ここら辺で感じてくるようになりました。特に、敗者側から本気で優勝を狙って考えているプレイヤーの熱は半端じゃなかったです。ダブルエリミネーション特有の緊張感が、LOSERSから頭角を表しました。

 

たくろー(ネクラ天使タマ)vs.黒箱(チームエクス)

現代デュエマに力を入れている黒箱選手。デュエマ上手い人ってウィクロスも上手いんですよね。

しかし、ここはウィクロスの経験値の差でたくろー選手が上回る。

 

・WINNERS FINAL

勝者側決勝のカードは、

KENZO(原子デウス)vs.みくに(ネクラ天使サンガ)

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ここまで怒涛の連勝を重ねてきた両者。しかし、ここでKENZO選手の豪運に翳りが見える。

 

「《H2O》が全然見えねぇ…」

 

要求力と除去耐性を併せ持つことで、高出力を安定させる原子デウスとはいえ、そもそも見えない《H2O》をケアする方法はとうとう見つからなかった。

1枚目が見えるも、時すでに遅し。

 

みくに選手、勝者側でGrand Final進出!
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・LOSERS SEMI-FINAL

(写真が残っていませんでした…)

たくろー(ネクラ天使タマ)vs.なの(原子デウス)

たくろー選手、このタマ使っての対原子デウスがめちゃくちゃ上手い。

この時主催も紙をしたくなり、ヒラナを回していたので試合内容あんまり思い出せません。ですが、直近のセレモニーでの活躍を見てそう確信しています。

 

・LOSERS FINAL

たくろー(ネクラ天使タマ)vs.KENZO(原子デウス)

トーナメント序盤、あれだけ他の参加者を養分呼ばわりして楽しんでいたKENZO選手。完璧なタイミングで捲れた《キルケー》に泣くことになりました。

 

たくろー選手、敗者側でGrand Final進出!

 

・GRAND FINAL

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最終決戦は、奇しくもWINNERS SEMI-FINALで鎬を削った2名によって行われることに。

先程の敗戦から、学んだたくろー選手が勝利し、全員が敗者側となったため、GRAND FINAL RESETのもう1試合が行われます!

 

・GRAND FINAL RESET

真の最終決戦。パンツのゲームが盛り上がりすぎて、試合内容を全く思い出せませんが、みくに選手の勝利!

 

↓優勝したみくに選手のリスト

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↓裏でアホみたいに盛り上がってたパンツのゲーム。詳細不明。

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リザルト

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大会を終えて

・環境的側面

まずはTier1と言って差し支えない原子デウスの台頭でしょう。この身内大会に4人が持ち込むほど、強力なアーキタイプです。

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(たまも選手より)

まずは、原子デウスに対してどのようにアプローチを仕掛けるのか、その工夫が大きく勝敗を分けたように感じました。

当然「強いデッキを強く使う」ことも大切ですが、ディーヴァセレクションにおいて絶対はありません。また、強いデッキ、Tier1のデッキを使うということは、それだけ高い確率でミラーマッチも発生します。ミラーマッチ格付け覚悟でTier1を持ち込むのか、多少デッキパワーを落としてでもメタに寄せていくのかは、プレイヤーの個性が現れる部分になるでしょう。

 

今回はネクラカラーの天使軸のデッキが1.2フィニッシュという結果でしたが、結果は結果です。その情報をどう扱うかまでは、私にはどうすることもできません。

「こんな身内大会の結果で全体の環境を見ようだなんて、しょうもない」と思うも、「ひとつの指標として、ネクラ天使が勝ち切ったのであれば検討しよう」と思うも、皆さんの自由です。

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どう受け止めるかは皆さんにお任せしたいと思います。

 

・大会主催として

こっちの方が書きたかった。

自分としては、今回の大会はある程度構想を練ってから実行したものの、タイムテーブルや回し方に若干の不備があったと反省しています。

しかし、同時に冒険してよかったな」と思いました。

ディーヴァセレクションはそのゲーム性から、これまでのウィクロスがウリとしていた構築の自由度、再現性の高いゲーム性から離れた新しいウィクロスでした。個人的には新しいものに乗っかれない者は振り落とされて当然だと思っていたのですが、welcome back divaの発売から見るに、きっと過去のユーザーも今のウィクロスに戻ってきてほしいというメッセージがあるように感じました。ウィクロスと心中する心算の自分は、もし公式がそのような展望を望んでいるのであれば、何か工夫次第でディーヴァセレクションの競技性を守ることができないか?と考えてみて、今回のぱ杯4thの開催に至りました。

TCGで類を見ないダブルエリミネーショントーナメントでの大会について、参加者である広義(埼玉)の面々からは、比較的好評価を頂いています。

確かに、これまで続けてきたスイスドロー4〜5回戦の予選から決勝シングルエリミトーナメントという流れは、カードショップの営業時間等も鑑みて参加者も募りやすく、考えられたルールであると言えます。しかし、それでゲーム自体をつまらないという声が上がるのは、本当にゲーム自体が問題なのでしょうか?「何か工夫の余地があれば試してみる」という冒険心は、安定とはお別れしてしまいますが、新たな可能性を開くカギになり得ます。

実際、実現するかどうかは別として、ダブルエリミネーショントーナメントを用いたひとつの企画案があります。

それは、公式でライターとして呼ばれていたり、セレモニーで上位入賞の常連であったりするプレイヤーを招き、完全招待制でダブルエリミネーショントーナメント戦を開催することです。

スマブラに詳しい人は、EPIをイメージしてくれればわかりやすいと思います。

 

welcome back diva-Lostrageの発売も近づいてきています。現在、人気が復活しつつあるウィクロスをこれからも応援していきたいと思います。

そして、そんな人への足掛かりとなってくれることを願い、筆を置かせて頂きたいと思います。

 

では、また次の機会にお会いしましょう。